音のアルバム お神楽のジゴトと太鼓
平成27年9月25日、鎌倉・鶴岡八幡宮でのお神楽奉納の際、
胴取・武山質さんに『叢雲(むらくも)』の冒頭部分のジゴトを録音していただきました。
「ジゴト」ってナニ? という方も多いと思いますが、ともかく名調子を聞いてみてください(下の黄色部分がジゴト)。
静かな物語の発端からエキサイティングな調子への変化など、聞きごたえがあります。
♪叢雲のジゴト
演目『叢雲(むらくも)』 | |
登場人物 足名槌(翁) 手名槌(老母) 稲田姫 スサノオの尊 ヤマタノオロチ | |
0::00 《ジゴト・太鼓》武山質 ♪エンーハラーハーーハーエーー ホーードーホーーイエ― エンヤハヤ ハーエーーハーエンヤハー ハーエーー ウーモーーリーナー ♪ハーハ ハーエーー エンヤ ハーアーアラズ ♪ハーーハーエーーヤーー ハヤーエーーエンヤハー ハーエーーエヤハー ササーヤーハーヨー ハー ヨーイーソラ ヨイソラリン? ハーヨーイーソラ ヨイソラリン? ハーヨーイーソラ |
《舞台》 ・足名槌の尊(翁面)一人だけネリ調子で出る。 ・二巡り、三巡りして「神なぎ」をいう。 ・舞台に仕掛けた大蛇、動き出す。 |
2:15 【足名槌】おゝ自らはこの須賀の里に住む足名槌にて候。しかるにこの奥山の川上に八岐大蛇(ヤマタノオロチ)住み、山谷をはい渡って人民を喰い尽くす。今宵は吾が姫の番となる。手名槌、姫をば伴い給えやー。 |
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2:26 ♪エンーハラーハーーハーエーー ホーードーーホーーエーー エンヤハヤー ハーエーー ハーエーエンヤハーー ハーエーークーーモーオーーリーナーー ♪ハーハ ハーエーーエンヤ ハーーアラズ?ーー ハーーハーエーーヤー ハヤーーエーー エンヤハー ハーエーーエンヤハー ササーーヨー ハーヨー ハーヨーイーソラ ヨイソラリング ハーヨイーソラ ヨイソラリング ハーヨーイーソラ |
・「ネリ」で手名槌(老姥)、姫の手を引いて出る。 ・姫は舞台正面に座して合掌する。 ・姫を中に老夫婦、大蛇より姫をかばい合う。 ・大蛇は激しく動く。 |
5:04 【足名槌】稲田姫、今宵は大蛇の餌食とや。あわれ悲しや稲田姫。 |
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5:27 ♪エンーハラーハーーハーーエーー ハエーーハラーハーーハーエーー エンヤハヤ ハエーーハーエンヤハー ハーエー |
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6:00 【手名槌】おゝ、いかなる者か親となり、子となりて、かようの憂き目に逢わんとは。名残り惜しさの稲田姫。 【稲田姫】あわれ恨めし、情けなや、悲しやのー。 |
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6:46 ♪エンーーハラーーハーーエー ハエーーハラーーハーーハーエーー エンヤハヤ ハエーーハーーエンヤハー (ネリから責めへ太鼓の拍子が変わります) ♪エーハーー ハー○?カミヤグ? ??〇〇〇? 〇〇〇〇〇?? アーサーハー アっソラ アっソラ ♪ハーハーハー ?〇〇国安穏? ?五穀も豊作? アーサーハー アっソラ アっソラ ♪ハーーハーー○○ミヤゴ アーサーリヤゴ? ○○○○○?? アーサーハ アっソラ アっソラ ♪エーーハーハー ツカミヤグ 〇〇〇〇??タマエキ? アーサーハー アっソラ アっソラ ♪ハーーハー 〇〇〇ミヤゴ? アーサーリヤゴ? 〇〇〇?ー アーサーハ アっソラ |
・舞台上の大蛇、動きがますます激しくなる。 ・「ねり」から「責め」の太鼓に変わる。 ・スサノオの尊出る。二、三振して「神なぎ」となる。 ≪参考≫「責め」の調子のとき |
9:30 【尊】おゝ、自らは須佐之男尊これなり。この八倉井の里に住める神たち、いかなる事にてかく悲しみ給えや。 【足】おゝ、下臣(しもべ)らは足名槌、手名槌と申す者にて候。この川上にヤマタノオロチ住み、人民を喰い尽くし、吾が子も 既にこの子まで八娘に及びて、皆大蛇の餌食となる。今を限りの別れ路にかく悲しみ給うなり。 【尊】おお、げにげにもっともなり。この山あいの頂を眺むるに、八色の雲たなびき渡って怪しく思い分け入ったり。いかなる 大蛇にても退治す。よって心やすらかなるべし。 【足】さては大蛇を退治し給うとか。姫が命、助かるなり。あゝら有り難やのー。 【尊】おゝ、大蛇を退治す、その上は、姫をば自らが后に給うべきやのー。 【手】あゝら有り難や、姫は尊の后なり。 【尊】おゝ、自らはいざ装束を改め、かの大蛇を退治し申さん。 |
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12:40 |
・尊は舞台上に座し、ツリをとり大蛇がかりをする。 ・足名槌、手名槌は姫のみ残して引く。 ・尊はホコの闘いから太刀を抜き…… (以下略) |
●平成27年9月25日 鶴岡八幡宮『奈良東大寺/鎌倉八幡宮合同・東日本大震災慰霊祭』にて録音 ※管理人は神楽は大好きですが、神楽の詳しいことはまるで無知です。で、同級生のTT君(神楽師・武山質君、 本職は大工さん兼漁師さん)に聞いたことなどを以下にまとめておきます。私(管理人)の無知のせいで間違い がたくさんあると思います。 お気づきの点はぜひお知らせください) ・「胴取」(どうとり) 舞台のメインの太鼓を叩くことを「胴を取る」といいますが、舞台全体を把握し、太鼓とジゴトの拍子、勢いで 演舞を進行する重要な役割を担っています。 舞の構成などを熟知しているものが太鼓を打ち、ジゴト(神楽歌?)を唄うことによって舞台が生きてくると言わ れます。ジゴトは演目や場面に応じて何種類かあり、舞の情感や雰囲気を盛り上げます。 ・「ジゴト」 胴取りが唄う(うなる?)神楽歌というべきものでしょうか。多くは「かけ声」のようですが、神々に天下泰平、五穀 豊穣、商売繁盛、大漁豊作、交通安全など、豊かな恵みを祈願する祝詞のようなことも唄われます。 また、舞台上の舞手が上の句を述べると、胴取りは下の句を唄って舞台の一体感を盛り上げます。 ・「神なぎ」 舞台上の舞手が述べる台詞。 ・「ネリ」調子 舞手が台詞をとなえる前後に演じられる太鼓とジゴトで、多くの舞台はゆったりした「ネリ」調子から「ランジョウ」 →「ミカグラ」→「ゴシャラク」とテンポが速くなり、先の天下安穏など祈願が唄われます。 ・「責め」調子 戦いの場面などのテンポの速い拍子。 (2015.12.12) |
※『叢雲』の舞台のダイジェスト版です(YouTube)。
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